はじめに:ベンツBクラスW246の故障に備えよう

ベンツBクラスW246は、高級感と実用性を兼ね備えたコンパクトカーとして人気があります。しかし、年式や走行距離によっては避けられない故障も発生します。

「最近エアコンの効きが悪い気がする…」「変な音がするけど大丈夫?」そんな不安を抱えながら乗っている方は少なくありません。

そのまま放置すれば、修理費用が高額になるケースもあります。正しい知識を持つことで、大きな出費やトラブルを未然に防ぐことが可能です。

この記事では、W246オーナーが特に注意すべき代表的な5つの故障例と、その対処法や修理費用の目安について分かりやすく解説します。

専門家による見解や、実際にW246を所有しているユーザーの体験談も交えながら、トラブルの全体像を網羅的にご紹介します。

この記事で分かること

  • ベンツBクラスW246で多い5つの主要な故障とは?
  • それぞれの故障にかかる修理費用の目安
  • 専門店とディーラーの対応の違い
  • 中古購入前にチェックすべきポイント
  • 故障を未然に防ぐ日常メンテナンスのコツ

ベンツBクラスW246とは?基本スペックと特徴

BクラスW246の概要と発売時期

ベンツBクラスW246は、2011年から2019年にかけて販売された2代目Bクラスです。コンパクトなボディに高い居住性と実用性を兼ね備えたモデルとして人気を博しました。

初期モデルは2011年に登場し、2015年にはフェイスリフト(マイナーチェンジ)が行われ、装備やデザインが進化しています。

W245からW246への進化ポイント

先代のW245からW246に移行する際、大きな技術的進化が見られました。

  • プラットフォームが刷新され、より軽量・高剛性に
  • 安全装備「ATTENTION ASSIST」や「PRE-SAFE」を標準化
  • 直噴エンジンと7速DCTを搭載し、燃費性能も向上

安全性と燃費性能が格段に向上した点が、W246の大きな魅力といえます。

W246の人気モデル・グレード構成

W246にはさまざまなグレードが存在しましたが、特に人気が高かったのは以下のモデルです。

グレード 特徴
B180 燃費性能に優れたベーシックモデル
B250 4MATIC 高出力ターボエンジン+4WD仕様
B200d 低燃費ディーゼル仕様、長距離走行向け

使用目的や好みに合わせて選べる点も、W246の評価が高い理由のひとつです。

燃費・走行性能の実際の評価

実際のユーザー評価では、「高速走行では16km/Lを超えることもある」との声もあり、長距離ドライブでの燃費性能の高さが好評です。

一方で街乗り中心では10〜12km/Lにとどまることもあり、走行条件による差が大きいのが特徴です。

加速性能は滑らかで、特に7速DCTの変速スムーズさに対する評価が高いです。

中古車市場での価格動向と傾向

2025年現在、中古のW246は60〜150万円程度で取引されており、価格帯の広さが魅力です。

年式や走行距離、グレードによって価格に大きな開きがあります。

年式 走行距離 相場価格
2012年式 8万km 約70万円
2018年式 3万km 約135万円

安い車両には修理歴や故障リスクも潜むため、整備記録簿の確認は必須です。

よくある故障①:エアコンの不具合

故障の症状と発生時期

エアコンの効きが悪くなる、風が出ない、異音がするなどの症状が報告されています。

初期症状は「冷えが弱い」や「温風が出ない」などで、走行距離が5万km〜7万kmを超えた頃に多く発生しています。

症状が進行すると、コンプレッサーが動作しなくなるなど、より深刻な故障へとつながります。

考えられる原因とリスク

エアコン不具合の主な原因は以下の通りです。

  • コンプレッサーの故障
  • 冷媒ガスの漏れ
  • ブロアファンの不具合
  • エアコンコントロールユニットの不調

冷媒漏れを放置するとコンプレッサーが焼き付くリスクがあり、修理費用が倍増する恐れがあります。

修理費用の相場と所要時間

エアコン関連の修理費用は故障箇所により大きく異なります。

故障箇所 修理費用の目安 所要時間
冷媒ガス補充 約8,000〜15,000円 1時間前後
コンプレッサー交換 約80,000〜150,000円 3〜4時間
ブロアモーター交換 約30,000〜60,000円 2時間前後

症状が軽いうちに点検を受けることで、費用を抑えられる可能性があります。

ディーラーと町工場の対応比較

エアコン修理においては、ディーラーと町工場で費用と対応に差があります。

  • ディーラー:純正部品使用・安心だが高額
  • 町工場:費用を抑えやすいが、知識と実績に差あり

W246に精通した整備士が在籍する工場を選ばないと、誤診断や部品交換ミスが起こることがあります。

ユーザーの体験談と注意点

ユーザーの声として「夏場にエアコンが効かず、長距離移動で困った」「原因が分からず複数回入庫した」というケースが多数見られます。

エアコンの不調は再発しやすいため、修理後も定期的な動作確認を心がけましょう。

また、フィルター清掃やエアコンの定期使用も、故障予防につながります。

よくある故障②:タイミングチェーンの伸び

異音やエンジン不調の初期サイン

タイミングチェーンの劣化初期には「カラカラ」「シャラシャラ」といった異音がエンジンルームから聞こえます。

この状態で放置すると、アイドリング不安定やエンジンチェックランプの点灯といった症状が現れます。

主に走行距離が7万kmを超えたあたりから報告が増加しており、早期発見がカギとなります。

放置するとどうなる?深刻なトラブル例

チェーンが伸びきると、バルブタイミングが大きくずれ、エンジン内部に深刻なダメージを与える恐れがあります。

  • エンジン始動不可
  • バルブとピストンの干渉による破損
  • 最悪の場合、エンジン載せ替えが必要に

異音に気づいた時点での点検・修理が、致命的な故障を防ぐ最善策です。

修理にかかる費用と工期

タイミングチェーンの交換は高額かつ作業時間も長いため、費用面での覚悟が必要です。

修理内容 費用相場 作業時間
タイミングチェーン交換 約150,000〜250,000円 2〜3日
関連部品同時交換(テンショナー等) +30,000〜50,000円 追加で半日程度

事前に見積もりを取得し、信頼できる整備工場を選ぶことが重要です。

部品交換とエンジン載せ替えの違い

タイミングチェーンの不具合が進行した場合、以下2つの対応が考えられます。

  • チェーンやテンショナー等の交換
  • エンジン全体の載せ替え

前者はパーツ単体の修理で済みますが、後者は中古エンジンの調達と作業で40万円以上かかるケースもあります。

症状の進行度によっては、部品交換より載せ替えのほうがコストを抑えられることもあります。

予防策としてのメンテナンス方法

タイミングチェーンは本来長寿命ですが、オイル管理の悪化が劣化を早める主因です。

  • オイル交換は5,000〜7,000kmごとが理想
  • 添加剤の使用でチェーン摩耗を抑制可能
  • 定期的な異音チェックも有効

とくに「オイル消費が早い」と感じたら早めの点検をおすすめします。

よくある故障③:CVT(無段変速機)の不具合

発進時のもたつきや異音の原因

CVTに不具合があると、発進時の加速が鈍くなったり、「ウィーン」「ゴロゴロ」といった異音が発生します。

このような症状は、ベルトの滑りやバルブボディの詰まりが原因であることが多いです。

特に渋滞時や坂道発進で違和感を感じた場合は、早めの点検が必要です。

CVT故障が多発する走行距離帯

ベンツBクラスW246では、走行距離6万〜9万kmを超えた頃からCVTの不具合が報告され始めます。

この距離帯では、オイル劣化や内部摩耗が進行しているケースが多く、変速ショックや加速不良が顕著になります。

中古車購入時には、CVTの状態確認が重要です。

オーバーホール vs 交換:どちらが得か?

CVTの修理対応には主に以下2つの選択肢があります。

  • オーバーホール:部品分解・洗浄・交換(比較的安価)
  • リビルト品への交換:完全交換(費用は高めだが安定)
修理方法 費用相場 作業日数
オーバーホール 約120,000〜200,000円 2〜3日
リビルト品交換 約220,000〜300,000円 3〜4日

症状の進行具合や予算に応じて選ぶことがポイントです。

ベンツ専門店の見解と事例紹介

CVTの修理に関しては、ベンツ専門店ならではの知見が活かされます。

たとえば東京都内の「ベンツ修理工房プロテック」では、過去5年間で200件以上のCVT修理実績があります。

  • 専用テスターによる診断
  • 不具合箇所の特定とピンポイント修理
  • リビルトCVTの在庫対応により短納期も実現

一般整備工場では対応不可なケースも多く、ベンツ専門店への相談が推奨されます。

中古購入時のチェックポイント

CVTの不調は見た目では判断が難しいため、以下の点を意識することが大切です。

  • 加速時に滑るような感覚があるか
  • 走行テスト時に変速の引っかかりや違和感がないか
  • 整備記録簿でCVTオイルの交換履歴を確認
  • 異音がないかアイドリング時に確認

保証付きの中古車や試乗可能な車両を選ぶことが、CVTトラブルを回避するうえで有効です。

よくある故障④:電装系トラブル(バッテリー・センサー)

警告灯が頻繁に点灯する理由

ベンツBクラスW246では、エンジンチェックランプやABS警告灯が頻繁に点灯するとの報告が多くあります。

原因はセンサーや配線系統の不良であることが多く、実際の不具合がない場合でも誤検知により点灯するケースがあります。

エラー表示のまま放置すると、重大な故障を見逃すリスクがあるため、診断機による確認が推奨されます。

バッテリー劣化と電装品の関係

電装系トラブルの多くは、バッテリーの劣化と密接に関係しています。

  • バッテリー電圧が下がるとセンサーの誤動作が起こる
  • スターターリレーやイグニッションにも影響が出る
  • 一定電圧以下ではシステムが起動しないことも

バッテリー寿命はおよそ3〜4年が目安です。

突然の始動不能を防ぐため、定期点検と電圧チェックが必要です。

センサー類の故障と対応方法

特に多いのがO2センサー、ブレーキセンサー、エアバッグセンサーの故障です。

これらは走行時の安全性や排気ガス制御に直結する重要部品です。

センサー種類 主な症状 交換費用(目安)
O2センサー 燃費悪化・エンジン警告灯点灯 約20,000〜30,000円
ブレーキパッドセンサー ブレーキ警告灯点灯 約5,000〜8,000円
エアバッグセンサー 安全装置の無効化 約15,000〜25,000円

異常が出た場合はセンサー単体の交換で改善するケースが多いです。

修理費用と保証範囲の実態

電装系の修理は、原因が複数にまたがることが多いため、点検費用がかさむ傾向にあります。

車両購入時に延長保証へ加入していれば、以下のようなケースがカバーされます。

  • センサー類の機能不良
  • コンピューター制御ユニットの故障
  • スターター・オルタネーターの不具合

加入時には「電装部品が保証対象か」を必ず確認しておきましょう。

ユーザーにできる日常点検のポイント

トラブルの予防には、日常的なチェックが非常に有効です。

  • エンジン始動前のメーター警告灯の状態を確認
  • アイドリング中に電圧計(12V以上)を確認
  • ライトやウィンカーの点灯異常を毎回チェック
  • 年1回のバッテリー診断を実施

電装トラブルは症状が出にくい分、早期発見が難しいため、こまめな注意が必要です。

よくある故障⑤:足回り(サスペンション)関連の異音

異音・振動の症状と発生箇所

足回りの故障で多く見られるのが「コトコト」「ギシギシ」といった異音や振動です。

走行中の段差越えやハンドル操作時に発生しやすく、サスペンション・アーム・ブッシュなどの摩耗が主な原因です。

特にフロント周辺からの異音は、運転中の不安要素となるため注意が必要です。

ブッシュ・アームの劣化の見分け方

ブッシュやアームが劣化すると、足回りに緩みが生じ異音や直進安定性の低下を招きます。

  • 車体を揺すったときにガタつく
  • タイヤの片減りが見られる
  • ステアリングが左右に取られる感覚

これらの症状がある場合は、早めに足回りの点検が必要です。

走行性能への影響と危険性

足回りの劣化は、走行安定性やブレーキ性能にも大きく影響します。

以下のような症状が進行すると、走行中の制御性が著しく低下します。

  • ブレーキ時に車体が左右にぶれる
  • カーブでのロールが大きくなる
  • 高速道路でのハンドル操作が不安定になる

足回りの不具合は事故リスクに直結するため、見逃さないことが重要です。

整備費用の相場と部品の耐久性

足回りの修理費用は部品と工賃の合計で大きく変動します。

部品名 交換費用目安 耐久走行距離
スタビライザーリンク 15,000〜30,000円 約50,000km
ロアアームブッシュ 25,000〜45,000円 約60,000〜80,000km
ショックアブソーバー 60,000〜100,000円(前後) 約80,000〜100,000km

高年式や走行距離の多い車両では、同時交換で費用を抑える方法も有効です。

定期点検で異常を早期発見するコツ

足回りの異常は走行時以外でも発見可能です。

  • 車検や半年点検の際に下回りのチェックを依頼
  • タイヤ交換時に異音やガタつきを確認
  • 洗車時に目視で部品のひび割れやサビを確認

整備士とのコミュニケーションを密に取り、気になる点を相談することが早期発見につながります。

よくある質問(FAQ)

ベンツBクラスW246は故障が多いって本当?

W246は電子制御の複雑化により、電装系やCVTの不具合が一定数報告されています。

ただし、定期的な点検や予防整備を行っている車両は10万km以上ノントラブルで走行している事例もあります。

初期モデル(2012〜2013年式)は不具合報告がやや多めです。

正規ディーラーと認証工場、修理はどちらが安心?

安心感ではディーラーが上ですが、費用は2〜3割高めになる傾向があります。

認証工場でもベンツ専門の実績がある店舗なら、品質も高く価格も抑えられます。

  • ディーラー:純正部品・保証対応あり
  • 認証工場:社外品・中古部品対応も可能で柔軟

故障を未然に防ぐメンテナンスの頻度は?

以下のメンテナンス頻度が推奨されます。

項目 推奨頻度
オイル交換 5,000〜7,000kmごと
CVTフルード交換 40,000〜50,000kmごと
バッテリー点検 年1回
足回りチェック 半年〜1年に1回

定期的な診断が、大きな出費を避ける最善策です。

ベンツの延長保証は加入すべき?

特に中古で購入する場合は、延長保証の加入が強く推奨されます。

たとえばCVTやエンジン系トラブルでは20万円以上の修理費用が発生することがあり、保証対象なら負担を大幅に軽減できます。

一部の保証プランでは電装系やセンサー類も対象に含まれるため、内容をよく確認しましょう。

買い替えか修理か、どちらが得?

判断の基準は以下の通りです。

  • 修理費用が車両価値の半額を超える場合 → 買い替えを検討
  • 過去1年で複数箇所トラブルが発生 → 故障の連鎖が起きやすい
  • 整備履歴が明確で状態が良好 → 修理継続も選択肢

長期保有したい場合は、信頼できる整備先を確保することがポイントです。

車検時に指摘されやすいトラブルポイントは?

W246で多く見られる車検時の指摘箇所は以下です。

  • 足回りブッシュの劣化・ひび割れ
  • ブレーキパッドとディスクの摩耗
  • CVTオイルのにじみ
  • バッテリー容量不足
  • ヘッドライトの光軸ズレ

放置すると再検査や追加費用の原因になるため、事前の点検が有効です。

まとめ:ベンツBクラスW246の故障対策と賢い向き合い方

この記事では、ベンツBクラスW246の代表的な故障5例と、それぞれの原因・修理費用・対処法について解説しました。

W246は高級感と実用性を両立した優秀なコンパクトカーですが、年式や走行距離によりトラブルが発生する可能性は十分にあります。

  • エアコンやタイミングチェーンなど、修理費用が高額になる故障がある
  • CVTや電装系は事前のメンテナンスで予防できるケースも多い
  • 専門知識のある工場での診断・整備が安心
  • 中古購入時は整備履歴や保証内容の確認が重要
  • 定期的な点検・オイル管理で愛車寿命を大きく延ばせる

一見マイナスに見える故障リスクも、正しい知識と予防策があれば不安要素を大きく軽減できます。

ベンツBクラスW246を長く快適に乗るために、今回の記事がトラブル対策の参考になれば幸いです。

次回の車検前や、異音・不調を感じた際には、本記事の内容を再確認して早期対応を心がけてください。

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