ベンツSクラスが「ぴょんぴょん」跳ねるって本当?

ベンツSクラスが「ぴょんぴょん」跳ねるって本当?

高級セダンの代名詞であるベンツSクラスですが、「ぴょんぴょん跳ねる」という違和感を抱いたオーナーは少なくありません。

走行中に上下動が激しくなる現象は、見た目にも異常であり、快適な乗り心地を求めるユーザーにとって深刻な問題です。

「新車なのに跳ねるのはおかしいのでは?」「高速道路で不安定になる理由は?」といった疑問を持つ方に向けて、原因や解決策を丁寧に解説していきます。

本記事を読むことで、症状の背景やエアサスの構造、正しい対処法までしっかり理解できます。

この記事で分かること

  • ベンツSクラスが跳ねる主な原因とそのメカニズム
  • エアサスの不具合による具体的な症状の特徴
  • 跳ねる症状を放置するリスクと悪化する前兆
  • 修理費用の目安と、ディーラー・専門店の違い
  • 症状を予防するための日常点検と運転のコツ

なぜベンツSクラスが跳ねる?エアサスの仕組みと不具合原因

なぜベンツSクラスが跳ねる?エアサスの仕組みと不具合原因

エアサスとは?Sクラスの高度なサスペンション構造

ベンツSクラスにはエアサスペンション(エアサス)が搭載されています。これは空気圧で車高を自動調整する高度な仕組みです。乗り心地の良さや路面追従性の高さが魅力ですが、構造が複雑なため、不具合が起きやすいという側面もあります。

特に走行距離が5万kmを超えた車両では、エアバッグ部分の摩耗が進み、跳ねる症状が発生しやすくなります。

定期的な点検を怠ると、突然のトラブルに繋がるリスクがあります。

「ぴょんぴょん現象」はどこで起きる?高速走行時や段差通過時の実例

跳ねる症状は高速道路での車線変更や、交差点の段差通過時に多く発生します。ユーザーからは「段差で跳ねて隣の車線までずれた」という声も寄せられています。

また、乗員が1人で走行しているときと、複数人が乗っているときで跳ね方が変わるなど、荷重バランスによっても症状が異なります。

エアサスのエア漏れ・コンプレッサー故障が跳ねる主因に

跳ねる原因の多くは、エアサスのエア漏れや、空気を送り出すコンプレッサーの不具合によるものです。漏れがあると空気圧が不足し、サスペンションが正常に動作しなくなります。

次の表は、主な故障箇所とその症状をまとめたものです。

故障箇所 主な症状
エアスプリング 段差通過時に強い跳ねを感じる
コンプレッサー 車高が上がらず、跳ねやすくなる
エア配管 片側だけが沈む、左右バランスの崩れ

経年劣化によるショックアブソーバーの影響

エアサスと並んで重要な部品がショックアブソーバーです。これが劣化すると、衝撃を吸収しきれず、ぴょんぴょん跳ねるような挙動になります。

一般的にショックアブソーバーの寿命は5〜7年程度とされており、使用環境や走行距離によって早まることもあります。

他の不具合との見分け方(アライメント・タイヤなど)

跳ねる原因がエアサスとは限らないケースもあります。タイヤの偏摩耗やアライメントのズレも似たような症状を引き起こすため注意が必要です。

  • ハンドルが取られる → アライメント不良の可能性
  • 特定速度域でのみ跳ねる → ホイールバランス不良の可能性
  • 走行直後のみ症状が出る → 空気圧不足の可能性

跳ねる症状がある場合は、複数の原因を同時に疑うことが重要です。

跳ねるベンツSクラス…放置するとどうなる?リスクと症状

跳ねるベンツSクラス…放置するとどうなる?リスクと症状

操作性の悪化による事故リスク

跳ねる症状は運転中の安定性を著しく低下させます。ステアリング操作に対して車体が素直に反応せず、車線変更やカーブでふらつく危険があります。

特に雨天時や高速道路では、タイヤが路面から浮く「ハイドロプレーニング現象」のリスクが増します。

わずかな異常でも事故につながる可能性があるため、早期対応が重要です。

車両制御システムへの悪影響(ESP、ABCとの連動不具合)

ベンツSクラスには、ESP(電子制御安定プログラム)やABC(アクティブボディコントロール)といった高度な制御機構が備わっています。

サスペンションが正常に動作しないと、これらのシステムとの連携に不具合が生じます。

その結果、エラー表示や自動制御のキャンセルが発生し、制御不能な状況に陥ることもあります。

タイヤやサスペンションの異常摩耗

跳ねる状態を放置すると、タイヤの偏摩耗やサスペンションの片減りが進行します。特にタイヤの外側や内側だけが極端に削れてしまう例が多く、乗り心地だけでなく燃費や静粛性にも悪影響を与えます。

以下に、放置によって発生しやすい摩耗症状をまとめました。

症状 主な原因
タイヤ外側の摩耗 車体が傾いた状態での走行
サスペンションのゴム劣化 継続的な振動負荷
異音の発生 バネやリンク部品の摩耗

長期放置による修理費用の増加

跳ねる症状を軽度のうちに修理すれば、費用は10万円台で済むケースもあります。

しかし、放置して複数の部品に波及すると、20〜40万円の修理費がかかることも珍しくありません。エアサスユニット全体の交換となると、部品代と工賃で50万円を超える場合もあります。

「そのうち直そう」と放置するほど、費用負担が大きくなる点に注意が必要です。

中古車査定額の大幅ダウン

跳ねる症状は中古車としての価値にも大きく影響します。買い取り時にサスペンションの不具合が見つかると、減額査定は避けられません。

2024年の大手中古車買取店調査によると、エアサスの不具合があるSクラスは平均で30万円以上査定額が下がるというデータもあります。

将来的に売却を考えている場合も、早めの修理が得策です。

エアサスの修理・交換費用はいくら?ベンツ正規ディーラーと専門店を比較

エアサスの修理・交換費用はいくら?ベンツ正規ディーラーと専門店を比較

ベンツディーラーでの修理費用目安(1本交換/全交換)

正規ディーラーでの修理は安心感がある反面、費用はやや高めです。エアサス1本の交換でおおよそ10万円〜15万円、4本すべて交換となると40万〜60万円の費用がかかります。

加えて、エアポンプやレベリングセンサーの不具合も同時修理になることがあり、総額で70万円以上かかるケースも報告されています。

民間整備工場やサスペンション専門店の費用相場

ベンツ専門の民間工場では、同等の作業が20〜40%程度安く済むことがあります。リフトアップが可能な設備と専用診断機を保有している工場が多く、対応も迅速です。

たとえば東京都内の認証整備工場では、エアサス片側交換が8万円、全交換が約35万円で行われています。

ただし、部品の入手ルートや工場の技術力によって仕上がりに差が出るため、実績のある業者を選ぶことが大切です。

純正パーツ・社外パーツ・リビルト品の価格比較

使用する部品によって費用は大きく変動します。以下に各種パーツの比較表を掲載します。

部品の種類 価格(1本あたり) 特徴
純正品 10万〜15万円 品質保証あり・高価
社外品 6万〜10万円 安価だが信頼性は製品による
リビルト品 4万〜7万円 再生品だがコストパフォーマンス高

工賃・部品代を含めたトータルコスト

エアサスの交換には、部品代に加えて工賃が1本あたり1万〜2万円程度発生します。

たとえば社外品を使った場合、部品代と工賃を含めた1本あたりの総額はおよそ8万円前後。リビルト品であれば6万円前後で収まることもあります。

修理費用を抑えたい場合は、信頼できる専門店での相談が有効です。

修理にかかる時間・代車サービスの有無

通常のエアサス交換作業は、1本あたり1.5〜2時間程度で完了します。全交換でも1日で終わるケースが多く、車を預けてから当日返却も可能です。

代車については、ディーラーでは無料提供されることが多いですが、民間工場では有料となる場合があります。以下に代車サービスの有無をまとめました。

修理先 代車の有無 備考
正規ディーラー あり(無料) 高級代車も選択可能
民間工場 一部あり(有料) 事前予約が必要な場合あり

ベンツSクラスのエアサスを長持ちさせるためのメンテナンス術

ベンツSクラスのエアサスを長持ちさせるためのメンテナンス術

定期点検の頻度とチェックポイント

エアサスの寿命を延ばすには、定期点検が欠かせません。半年ごとの点検を推奨しており、特に空気圧、コンプレッサー作動音、サスペンションの沈み込み状態を確認します。

点検項目を習慣化することで、不具合の早期発見につながります。

  • 駐車時に車高が左右非対称になっていないか
  • サスペンション下部にオイル漏れがないか
  • 異音・警告灯の有無

サスペンションの負荷を減らす運転法

急発進や急ブレーキは、エアサスへの衝撃を増やします。滑らかな加減速を心がけることで部品への負荷が軽減され、結果として寿命が延びます。

また、段差に対して斜めに進入するなど、振動を減らす工夫も重要です。

サスペンションは「衝撃の蓄積」によって突然故障する場合があります。

駐車中の姿勢に注意!「傾き」で劣化が早まる?

片側のタイヤだけが高くなるような傾斜地への駐車は、エアバッグやバルブに偏った負荷をかける原因となります。

特に長時間の駐車時は、できる限り平坦な場所を選ぶことが望ましいです。

実際に傾いた場所に3ヶ月駐車し続けたユーザーの車両では、左リアのサスが沈下したという報告もあります。

サスペンションオイルやブッシュ類の点検

エアサスと同様に重要なのが、周辺部品の健全性です。ブッシュの亀裂やオイル漏れは振動を吸収しきれず、跳ねや揺れを引き起こします。

以下の表は、チェックすべき主な部品と推奨点検周期です。

部品名 点検の目安
ロアアームブッシュ 車検ごと(2年)
スタビライザーリンク 走行4万kmごと
サスオイル 5年または5万km

車検時に見逃されがちなサインとは?

車検整備では重大な不具合がない限り、「予備軍」となる症状は見逃されやすい傾向にあります。

たとえば以下のような兆候がある場合、点検依頼時に明確に伝えることが必要です。

  • 段差通過後に車体が数回上下に揺れる
  • 冷間時と暖気後で車高が異なる
  • サス作動時に「シュッ」という音が大きくなった

車検はトラブル予防のチャンスでもあるため、違和感を放置せず伝えることが大切です。

エアサス以外が原因?跳ねる症状を招くその他の可能性

エアサス以外が原因?跳ねる症状を招くその他の可能性

タイヤの空気圧・偏摩耗による跳ね

タイヤの状態は、車両の挙動に大きな影響を与えます。空気圧が低すぎたり高すぎたりすると、振動吸収性能が損なわれ、跳ねやすくなります。

また、偏摩耗したタイヤはグリップ力が不均等になるため、直進安定性を欠き、路面の段差で跳ねやすくなる傾向があります。

月1回は空気圧と摩耗状態のチェックを行いましょう。

ホイールバランスやアライメントのズレ

走行中に特定の速度域で跳ねる場合、ホイールバランスが崩れている可能性があります。ホイールに付着した泥やバランスウエイトの脱落などが原因です。

また、アライメントのズレも跳ねの一因です。直進中に車が左右に流れる場合や、タイヤの内外どちらかが極端に減っている場合は要注意です。

足回りブッシュの劣化・ひび割れ

足回りには多くのゴムブッシュが使われており、これらが劣化すると衝撃吸収性能が低下します。

走行距離が5万kmを超えた車両では、劣化による硬化やひび割れが進行しやすくなります。

以下に代表的な劣化ポイントを示します。

ブッシュの部位 症状
ロアアームブッシュ 段差での異音や跳ね感の増加
スタビリンクブッシュ コーナリング時の不安定感
サブフレームマウント 加減速時の突き上げ感

車高調やダウンサス装着によるセッティングミス

社外の足回りパーツに交換している場合、セッティングが適正でないと跳ねる原因になります。

車高が極端に低すぎたり、バネレートが硬すぎるセッティングでは、サスペンションがうまく沈まず、段差で跳ね返される感覚が生まれます。

純正から変更している場合は、再調整または見直しを検討しましょう。

車両ソフトウェアの不具合(リコール事例含む)

近年のSクラスでは電子制御によって足回りが調整されています。そのため、ソフトウェアの不具合が跳ねにつながるケースもあります。

2023年には、制御モジュールのアップデート漏れが原因でサスペンションが不安定になるリコールも報告されています。

気になる症状が出たら、まずはリコール情報やサービスキャンペーンの確認を行うことが大切です。

跳ねる症状が出たらどうする?対処フローとおすすめの修理先

跳ねる症状が出たらどうする?対処フローとおすすめの修理先

最初にやるべきセルフチェック項目

跳ねる症状が現れたら、まずは落ち着いてセルフチェックを行いましょう。以下のような簡単な確認で、原因の特定に近づくことができます。

  • タイヤの空気圧に異常がないか
  • 車高が左右均等かどうか
  • 段差で異音が出るか
  • サスペンション部からのオイル漏れ

これらを確認しても異常が続く場合は、専門業者の診断が必要です。

異音や警告灯の有無で重症度を判断

異音や警告灯が点灯している場合、エアサス本体またはコンプレッサーに重度の異常がある可能性が高いです。

一方で警告灯がない場合でも、実際にはバルブや配線の不良など軽度のトラブルが起きていることがあります。

症状が軽度であっても、走行を続けることで故障が拡大するリスクがあるため、放置は禁物です。

整備工場の選び方(認証工場・専門性・診断機)

修理を依頼する際は、ベンツSクラスに対応できる診断機を備えた認証整備工場を選ぶことが大切です。

以下に選ぶ際のチェックポイントを整理しました。

選定基準 確認内容
ベンツの対応実績 輸入車整備歴があるか
診断機の有無 XENTRYなど対応ツール保有
認証資格 国の認証工場であるか

ベンツ専門の修理店おすすめ3選

全国にはベンツ専門の修理店が多数存在し、信頼性の高い店舗も多くあります。以下の3店舗は、実績と口コミ評価から特におすすめです(2025年7月現在)。

店舗名 所在地 特徴
メルセデス・ベンツ横浜西(神奈川県) 横浜市保土ケ谷区 ディーラー並の設備と価格競争力
ファーレン東大阪(大阪府) 東大阪市 エアサス修理の専門技術に定評
ベンツ専門ガレージSPEED(東京都) 江東区 社外品・リビルト対応でコスト削減可能

修理前にやるべき見積もり比較と相談内容

修理を依頼する前に、必ず2〜3社以上の見積もりを取得し、明細の内容を比較しましょう。

見積書では以下の点を重点的に確認してください。

  • 交換部品の種類(純正・社外・リビルト)
  • 工賃の内訳と単価
  • 診断料の有無
  • 代車サービスの有無

事前相談時には症状の経緯や発生状況を具体的に伝えると、診断精度が高まります。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

ベンツSクラスが跳ねるのは新型でも起こる?

はい、新型でも発生するケースがあります。2022年式Sクラスでも「段差で跳ねる」「車高が不安定」といった報告があります。特に走行初期の電子制御調整が不完全な場合や、個体差によって振動吸収が不十分なことがあるため、ディーラーでの初期診断を受けることが推奨されます。

新型車でも油断せず、気になる症状があればすぐに相談しましょう。

エアサスの耐用年数は何年くらい?

一般的に5年〜7年、または走行5万km〜8万km程度が目安です。ただし、都市部での短距離走行が多い場合や、段差の多い道路を頻繁に走る場合は劣化が早まる傾向にあります。

定期点検でサスペンションの作動音やエア漏れ兆候を確認することで、故障を未然に防ぐことができます。

修理せず乗り続けたらどうなる?

乗り心地の悪化だけでなく、安全性の低下にもつながります。例えば片側の車高が下がった状態で走行すると、タイヤの偏摩耗やブレーキ性能への悪影響が発生します。

  • ABS・ESPなどの電子制御機能に干渉
  • アライメントが狂うことで直進安定性低下
  • 他の部品(コンプレッサーなど)にも負荷がかかる

費用の増大を防ぐためにも、早期の修理が望まれます。

中古で買ったSクラスでも同様の不具合が出やすい?

はい、中古車では特に注意が必要です。エアサスは使用年数とともに劣化する部品であり、10年落ち・走行10万km前後の車両では不具合発生率が高まります。

購入前には、以下のような点をチェックしましょう。

  • 過去の修理履歴にエアサス交換の記載があるか
  • 駐車時に車高が下がっていないか
  • 冷間時と暖気後で姿勢に差が出ていないか

エアサスよりコイルサスの方が安心?

コイルサスペンションは構造がシンプルなため、エアサスに比べて故障のリスクは低いです。また、メンテナンス費用も抑えやすく、長期保有には適している場合があります。

ただし、Sクラスにおいてはコイルサス仕様は限られており、グレードによっては選択不可となっています。乗り心地や静粛性を重視する場合はエアサスに軍配が上がります。

跳ねる症状を自分で直すことはできる?

エアサス関連のトラブルは専門的な構造を伴うため、DIY修理はおすすめできません。空気圧の管理やタイヤの交換など簡易的な整備は可能ですが、内部部品の交換には専用の診断機と技術が必要です。

仮に応急処置で直ったとしても、根本原因が解決されなければ再発リスクが高くなります。

安全性の面からも、必ず専門の整備士に依頼してください。

まとめ:ベンツSクラスがぴょんぴょん跳ねる原因と正しい対策

まとめ:ベンツSクラスがぴょんぴょん跳ねる原因と正しい対策

ベンツSクラスが跳ねる症状には、エアサスの不具合が大きく関係しています。しかし、それだけではなく、タイヤ・アライメント・制御系など複数の要素が影響するため、原因特定と早期対応が非常に重要です。

乗り心地や安全性を維持するためには、日頃の点検やメンテナンスが欠かせません。特に車高の変化や異音、振動を感じたときには、専門店での診断を早めに受けることをおすすめします。

以下のポイントを再確認しましょう。

  • 跳ねの主因はエアサスのエア漏れやコンプレッサー不良
  • 放置すると制御システムへの影響や査定ダウンにもつながる
  • 修理費用は内容やパーツにより数万円〜60万円以上と幅広い
  • コストを抑えたいなら専門店やリビルト品活用も視野に
  • タイヤや足回り部品も点検対象として重要

輸入車であるSクラスだからこそ、信頼できる修理先と付き合うことが、長く快適に乗り続けるコツです。

「ぴょんぴょん跳ねる」その小さな違和感を、見逃さないようにしましょう。

関連記事