ベンツEクラスのトランクが閉まらないときの対処法を知る前に

ベンツEクラスのトランクが閉まらないときの対処法を知る前に

ある日突然、ベンツEクラスのトランクが閉まらなくなった――そんな状況に直面した経験はありませんか?

愛車のトランクが閉まらないというトラブルは、見た目以上に不便で不安を感じさせます。

とくにEクラスは電動トランクやスマートキーなど、便利な機能が搭載されている分、原因が複雑になる傾向があります。

「バッテリーが原因?」「誤作動?」「修理費は高額になる?」など、さまざまな疑問が浮かぶでしょう

本記事では、実際によくある原因と解決法をプロ目線でわかりやすく解説します。

大切な愛車を長く安全に乗り続けるために、原因を知って正しく対処することが重要です。

この記事で分かること

  • ベンツEクラスのトランクが閉まらない5つの主な原因
  • 型式別・年式別のよくあるトラブルと特徴
  • 自力でできるトラブル対処法と応急処置
  • ディーラーでの修理費用や相談の目安
  • 今後のための予防メンテナンスのポイント

ベンツEクラスのトランクが閉まらない主な原因5選

ベンツEクラスのトランクが閉まらない主な原因5選

バッテリー電圧の低下による電動トランク機能の停止

電動トランクはバッテリー電圧が一定以下になると自動的に停止します。ベンツEクラスでは、バッテリー電圧が12Vを下回ると、トランクの開閉機能が制限されるケースが多く報告されています。特に、エンジンをかけずに長時間利用していた場合は注意が必要です。

エンジンがかからない、ヘッドライトが暗いなどの症状があれば、まずバッテリーを疑いましょう。

トランクロックやセンサーの故障

トランクのロック機構やセンサーは、ゴミや経年劣化によって反応しなくなることがあります。ベンツEクラスでは、リアエンドセンサーが正しく動作しないと、トランクが閉じた状態でもロックされずに戻ってしまうことがあります。

  • リモコンでロックできない
  • トランクを押し込んでも反応がない
  • 閉まった直後に自動で開く

これらはセンサー誤作動の代表的なサインです。

キーやリモコンの電池切れ

意外と見落としがちなのが、スマートキーの電池切れです。電波が弱くなると、トランクのロック指示が届かず、あたかも故障のような挙動を示します。3年以上電池を交換していない場合は早急にチェックしましょう。

特に2020年以降のモデルでは、スマートキーが完全依存の設計になっているため、予備キーでの確認もおすすめです。

トランク周囲の異物・挟み込みによる誤作動

トランクの縁にタオルやケーブルなどが挟まると、安全機構が働いて閉まらなくなることがあります。これはトランクの自動開閉機能が異常を検知し、ユーザーの安全を優先して動作をキャンセルするためです。

  • チャイルドシートのベルト端
  • カーゴネットの一部
  • 洗車時のタオルの挟まり

これらが原因となるケースが多数報告されています。

トランクダンパー(ショックアブソーバー)の劣化

トランクダンパーの内部オイルが抜けると、自重で自然に閉まらず途中で止まるなどの現象が発生します。特に10万km以上走行した個体では、ダンパーが寿命を迎えることが多く、定期的な点検が推奨されます。

開閉が重い・トランクが途中で止まる場合は、ダンパーの交換を検討してください。

原因 主な症状
バッテリー電圧の低下 開閉動作が不安定になる、反応しない
センサー・ロックの故障 自動で戻る、押し込んでも閉まらない
キーの電池切れ リモコン操作が無反応になる
異物の挟まり 安全機構が作動して閉まらない
トランクダンパーの劣化 開閉が途中で止まり手で補助が必要

型式別・年式別に異なるトランクの仕様と対処ポイント

型式別・年式別に異なるトランクの仕様と対処ポイント

W213型(2016年〜)の特徴とトランク開閉システム

W213型は電動トランクを標準またはオプション装備しており、ボタン操作による自動開閉が可能です。2020年以降のモデルでは「キックセンサー式」も採用され、利便性が向上しました。ただし、センサー誤作動によるトランク不具合の報告もあり、定期的なセンサーの清掃が推奨されます。

W212型(2009〜2016年)で起こりやすいトラブル傾向

W212型は電動機能を備えるグレードが一部に限られており、手動開閉が主流です。特にリアゲートのストライカー部分にサビが発生しやすく、ロック不良につながるケースがあります。10年以上経過した車両では、ダンパーの経年劣化も確認されています。

手動で閉めても反応しない場合は、機械的な点検が必要です。

クーペモデルとセダンモデルの構造的違い

クーペモデルはセダンと比べてトランクの開口部が狭く構造も異なります。ヒンジ部分の可動域やダンパー形状が異なるため、セダンと同じ対処法が通用しない場合があります。特にリアスポイラー付き車両では開閉の負荷が増す点に注意が必要です。

電動トランク vs 手動トランクの判断方法

見た目だけでは判別が難しいため、以下の方法で確認しましょう。

  • トランクに開閉ボタンがある → 電動
  • 運転席付近に専用スイッチ → 電動
  • 物理キーでのみ操作可能 → 手動

誤って手動で無理に閉めると故障につながる恐れがあります

トランク開閉の履歴を確認する方法

W213型以降は、車載コンピューター(COMANDシステム)上でトランク開閉の履歴を確認できます。一部モデルではOBD2アダプターを接続し、スマホアプリでログを確認することも可能です。異常の頻度やタイミングを記録することで、整備士に原因を正確に伝えることができます。

型式 主なトランク仕様 トラブルの傾向
W213(2016年〜) 電動トランク・キックセンサー付 センサー誤作動・制御系エラー
W212(2009〜2016年) 手動トランク(オプションで電動) ロック機構のサビ・ダンパー劣化
クーペモデル 狭い開口部・異なるヒンジ構造 スポイラー影響・トルク負荷増

自力でできるベンツEクラスのトランクトラブル対処法

自力でできるベンツEクラスのトランクトラブル対処法

リセット手順と強制ロックの方法

ベンツEクラスの電動トランクは、制御システムのリセットで復旧する場合があります。リセット方法は「開く→手動で閉じる→5秒以上ボタン長押し」の順に操作します。この操作で制御ユニットが初期化され、正常に戻ることがあります。

症状が改善しない場合は、電装系のトラブルが疑われます。

ヒューズの確認と交換手順

トランクが完全に無反応な場合、ヒューズ切れが原因の可能性があります。助手席足元やラゲッジスペース内のヒューズボックスを確認し、「トランク制御」または「リアコンフォートシステム」の表示があるヒューズをチェックしましょう。切れていれば同規格(例:15A)のものに交換します。

応急的にトランクを閉める裏技

電動トランクが閉まらない場合でも、一時的に物理的に閉じる方法があります。手順は以下の通りです。

  • 一度トランクを完全に開ける
  • トランクを半分ほどまで下ろす
  • 一気に押し込む(無理に力を入れすぎない)

この方法で仮閉めができることがありますが、根本解決にはなりません

OBD2スキャンツールを使った診断方法

故障原因を明確にするためには、OBD2スキャナーでの診断が有効です。市販のBluetooth対応スキャナーとスマホアプリ(例:Car Scanner、BimmerLink)を使用すれば、エラーコードを簡単に読み取れます。トランク関連のエラーは「B2xxx系」や「U0xxx系」に表示されることが多いです。

スマートキーの再登録手順

スマートキーが反応しない場合、再登録が必要なケースがあります。登録手順は車種により異なりますが、一般的には次の通りです。

  • 車内でキーのロック・アンロックボタンを3秒押し
  • イグニッションONにしたまま、再度キー操作
  • COMAND画面に登録完了の通知が表示される

誤った操作を繰り返すとシステムがロックされる場合があるため、慎重に行ってください。

対処方法 難易度 必要な道具 所要時間
リセット操作 なし 約2分
ヒューズ交換 ヒューズ・ヒューズプーラー 約10分
仮閉め操作 なし 約1分
OBD診断 OBDスキャナー・スマホ 約5〜10分
キー再登録 スマートキー・COMAND 約15分

ディーラーや修理工場に依頼すべき症状と費用目安

ディーラーや修理工場に依頼すべき症状と費用目安

ディーラーに相談すべき5つのケース

以下のような症状がある場合は、早めにディーラーへ相談することをおすすめします

  • トランクが全く動作しない
  • リモコン操作が一切反応しない
  • 走行中にトランクが自動で開く
  • トランクが途中で止まってしまう
  • 異音や焦げ臭いニオイがする

特に電装系の異常は早期発見が修理費用を抑える鍵になります。

修理にかかる平均的な費用相場

ベンツEクラスのトランク修理費用は症状により大きく異なります。以下に主な修理項目と費用の目安をまとめました。

修理内容 費用相場(税込)
電動モーターの交換 60,000円〜120,000円
センサー・スイッチ交換 20,000円〜50,000円
ヒューズ・リレー交換 5,000円〜15,000円
スマートキー再設定 10,000円〜30,000円
配線・コンピューター修理 80,000円〜150,000円

トランク関連の保証対象範囲(新車・中古車)

新車購入時の保証では、初回3年間または走行10万km以内であれば無償修理対象です。中古車でもディーラー認定中古車であれば、保証期間内は無償対応となることがあります。

  • 年式・走行距離によって条件が異なる
  • 社外パーツの使用は対象外
  • 事故歴があると保証が無効になる場合あり

整備士が行う診断と修理の流れ

トランクが正常に閉まらないとき、整備士は段階的に診断を進めます

  1. ヒューズ・バッテリー電圧の確認
  2. OBD診断機によるエラーコード確認
  3. モーターやセンサーの動作チェック
  4. 必要な部品交換と調整
  5. 動作確認と再テスト

ディーラーでは高精度の診断機器が使われており、再発リスクの低い修理が可能です。

「ベンツ専門店」と「街の整備工場」の違いとは?

修理依頼先によって、対応内容や費用に差があります。

修理工場タイプ 特徴
ベンツ正規ディーラー 純正部品・最新設備・保証対応あり。価格は高め
ベンツ専門工場 輸入車対応に強く、費用はやや安価
一般の整備工場 価格重視。電子部品の診断力には限界あり

正規ディーラーと専門工場の使い分けが、安心とコストの両立につながります。

同様の症状を未然に防ぐ!トランク周辺のメンテナンス方法

同様の症状を未然に防ぐ!トランク周辺のメンテナンス方法

定期的なゴムパッキンとヒンジのチェック

トランク周囲のゴムパッキンは、密閉性を保つ重要な部品です。経年劣化やひび割れにより閉まりが悪くなり、誤作動を引き起こすことがあります。月に一度、濡れタオルでの清掃とシリコングリスでの保護がおすすめです。

ゴムの変形やカビは早期交換を検討しましょう。

バッテリーの電圧チェックと予防交換

電動トランクの動作には安定した電圧供給が不可欠です。電圧が12Vを下回ると制御装置が誤作動を起こすリスクが高まります。2〜3か月に一度は、電圧チェッカーで数値を確認する習慣をつけましょう。

  • 12.5V以上 → 良好
  • 12.0〜12.4V → 注意
  • 11.9V以下 → 交換を検討

キー操作とスマートキーの使い分け注意点

トランク操作時は、スマートキーの電波が正しく届く状態を保つことが重要です。金属に囲まれたバッグ内や機器との干渉で誤反応が起きることもあるため、操作は車両の近くで行いましょう。

また、スマートキーの電池は年1回の交換が理想です。

雨天や積雪時のトランク開閉の注意点

雨や雪がトランクロック部に入り込むと、ショートやサビを引き起こす原因になります。開閉時は濡れた手での操作を避け、乾いた布でロック周辺を拭き取るようにしましょう。積雪時は凍結によるロック故障にも要注意です。

洗車時に注意したいトランクロック部の水分対策

高圧洗浄機の水流がロック部分に直撃すると、内部に水が浸入して誤作動を引き起こすことがあります。トランク開閉ボタンやロック周辺は、柔らかいスポンジでやさしく洗うのが基本です。

洗車後は乾いたクロスで丁寧に水分を除去してください。

メンテナンス項目 推奨頻度 使用アイテム
ゴムパッキンの保護 月1回 シリコングリス、濡れタオル
電圧チェック 2〜3か月ごと バッテリーテスター
キー電池の交換 年1回 CR2032などの電池
ロック部の水分除去 洗車時毎回 乾いたクロス
トランクヒンジの点検 半年ごと 潤滑スプレー

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

走行中にトランクが開いたらどうすればいい?

すぐに安全な場所に停車し、トランクを手動で閉めてロックを確認してください。走行中のトランク開放は危険であり、車内警告灯が点灯するケースが多く報告されています。2020年式Eクラスでは、リアカメラとセンサーにより警告表示される仕様です。

そのまま走行すると荷物の飛散や事故につながる恐れがあるため、注意が必要です。

トランクが完全に閉まらず浮いてしまうのはなぜ?

この症状はセンサー誤作動やロック機構のズレによって起こることがあります。特に2021年以降のモデルでは「ソフトクローズ機構」が搭載されており、誤差があるとロックされない仕様になっています。

  • トランク内部の荷物が干渉している
  • ロック部分に異物やゴミがある
  • 経年劣化によるパーツの変形

ディーラーでの点検は予約が必要?

はい、ベンツ正規ディーラーでは完全予約制となっているケースがほとんどです。特にトランクの不具合は専門診断機器が必要になるため、事前に「電動トランクの不具合がある」と伝えるとスムーズです。

土日祝は予約が混み合うため、平日の午前中がおすすめです。

リモコンで開け閉めが効かないときの原因は?

主な原因は以下の3つです。

  • スマートキーの電池切れ(CR2032:使用寿命約1年)
  • 車両側の受信アンテナ不良
  • 近隣の電波干渉(地下駐車場や高圧線付近など)

予備キーで動作を試すことも有効な診断手段です。

電動トランクを手動で閉めても大丈夫?

基本的には問題ありませんが、強引に閉めるとギア損傷や故障の原因になります。Eクラスの電動トランクは「手動補助モード」に切り替わるよう設計されているため、軽く押し込むだけで閉まるのが正常です。

閉まらない場合は無理に押し込まず、原因を特定しましょう。

中古のベンツEクラスを買うときに確認すべきポイントは?

以下のポイントは事前に必ず確認しておくべきです。

  • 電動トランクが正常に開閉するか(操作テスト)
  • トランクロックやゴムパッキンの状態
  • 修復歴や事故歴(リアまわり)
  • トランクヒューズ・センサー交換履歴

認定中古車であれば1年間の保証が付帯することが多いため、購入先も重要です。

質問項目 ポイント
トランクが走行中に開く 即停車し手動でロック、安全確認を
閉まりきらない ロック機構・干渉物の確認
リモコンが効かない 電池・電波環境・本体不具合を確認
手動で閉めてもいい? 基本OKだが力任せはNG
中古車でのチェック 機構の動作・消耗部品・保証の有無

まとめ:ベンツEクラスのトランク不具合は早期発見と対処がカギ

まとめ:ベンツEクラスのトランク不具合は早期発見と対処がカギ

ベンツEクラスのトランクが閉まらないトラブルは、電動システムやセンサー、キー操作など複数の要因によって発生します。

以下のように、ポイントを押さえておくことで、慌てず冷静に対処できるようになります。

  • よくある原因を知っておくことで、自己判断での応急処置が可能になる
  • 型式や年式により対処法が異なるため、自分の車の仕様を把握しておくことが重要
  • 自分でできるメンテナンス方法を定期的に実践すれば、トラブルを予防できる
  • 症状によっては早めにディーラーや専門工場へ相談し、修理費用を抑える工夫も大切
  • FAQに挙がるような実例を知ることで、トラブルに直面した際の心構えができる

トランクの不具合を軽視せず、日々の点検と適切な対応を心がけることで、愛車をより長く快適に維持できます。

関連記事