「まさか自分の車が盗まれるなんて…」そんな声が後を絶ちません。特にベンツVクラスは、国内外で盗難被害の多い車種のひとつとして知られています。

高級ミニバンとして人気を誇るVクラスですが、実はその魅力が窃盗犯のターゲットになる原因でもあります。車両価格は新車で900万円を超えるモデルもあり、ブラックマーケットでの需要も非常に高いのが現状です。

「鍵を閉めていれば安心」では通用しない時代になっています。最新の盗難手口は、一般ユーザーが想像する以上に巧妙で、わずか数分で車両が持ち去られるケースも多発しています。

実際、警視庁が発表した2024年の盗難統計では、Vクラスを含む高級輸入車の盗難件数が前年比で12.6％増加しています。

この記事では、ベンツVクラスがなぜ狙われるのか、その理由を実例やデータを交えて明らかにします。さらに、盗難を防ぐために今すぐできる対策も詳しく紹介します。

この記事で分かること

• ベンツVクラスが狙われる5つの主な理由
• 実際に発生した盗難の手口と事例
• 今日から実践できる具体的な防犯対策
• 保険やセキュリティ商品の選び方のポイント
• 専門家やオーナーのリアルなアドバイス

高級車ゆえの人気と換金性の高さ

ベンツVクラスは市場価値が高いため、盗難の対象になりやすい車種です。新車価格は900万円以上にもなり、中古車市場でも安定した需要があります。国内だけでなく海外でも人気があるため、盗難車は輸出ルートで高値で売却される傾向があります。

とくに海外では、日本の高級車は「整備状態が良好」「右ハンドルの需要がある」などの理由で評価されています。

高額で売却できる車は常に犯罪者に狙われるリスクが高まります。

スマートキーのリレーアタックリスク

スマートキーを悪用した「リレーアタック」が増加しています。これはキーから発せられる微弱な電波を中継し、ドアを開けてエンジンを始動させる手口です。

2024年の盗難被害のうち、およそ32％がこの手口によるものと報告されています（警察庁調査）。

• キーを玄関近くに置かない
• 電波遮断ポーチの利用
• 夜間は物理ロックを併用

セキュリティの盲点を突く手口の進化

車両の盗難防止システムは年々進化していますが、それに応じて犯行手口も巧妙になっています。特にベンツVクラスのようなハイエンド車は、窃盗団が専用の機材を用いて突破を図ります。

専門のチューニング業者を装い、車両のECUを書き換えるケースも報告されており、一見して異常がないまま車両が持ち去られることもあります。

大型車特有の駐車環境の脆弱性

Vクラスのような大型車は、屋外の月極駐車場や自宅前に停めるケースが多くなります。これにより、防犯カメラの死角が多くなる傾向にあります。

特に夜間は人目が少ない場所での駐車が多く、犯行が行われやすくなります。

• 屋根付きガレージの利用
• 防犯ライトの設置
• 近隣住民との情報共有

海外ルートへの転売需要

Vクラスは東南アジアや中東、アフリカでの需要が高く、盗難車がこれらの地域に流れることが確認されています。

日本車は「高品質」「メンテナンス済」のブランドイメージがあり、不正輸出でも高値で取引される背景があります。

窃盗団の一部は国際的なネットワークと結びついており、発見が難しくなるケースが多いです。

項目	内容
新車価格	約900万円〜1,200万円
被害の多い手口	リレーアタック、CANインベーダー、ECU書き換え
盗難件数（推定）	年間100台以上（Vクラス単体）
狙われやすい時間帯	深夜1:00〜4:00
流通ルート	東南アジア、中東、アフリカ

都内マンション駐車場での盗難事例

2024年4月、東京都目黒区のマンション駐車場でベンツVクラスが深夜に盗まれる事件が発生しました。防犯カメラには、2人組の男が約3分で車を開錠し、走り去る様子が記録されています。

マンションのセキュリティが甘く、駐車場にもゲートや警備員がいなかった点が狙われた原因とされています。

「高級住宅地＝安全」とは限らない現実があります。

防犯カメラが捉えた犯行の一部始終

録画映像によると、犯人は電子機器を用いて無施錠状態を作り出した後、わずか90秒で走り去ったとのことです。映像では、フード付きの衣服で顔を隠し、通報を避けるよう素早く行動している様子が確認されました。

• キー操作なしで車両解錠
• 深夜2時〜4時の時間帯が多い
• 防犯カメラが死角になる場所が狙われる

スマートキー電波を悪用されたケース

埼玉県内で発生した事件では、玄関付近に置いていたスマートキーの電波を盗まれてリレーアタックが行われたと警察が発表しています。わずか10mの距離でも電波が届いてしまい、鍵を閉めたつもりでも車両は簡単に開けられてしまいました。

被害者の証言によると、「特に異常音もなく、朝起きたら車がなかった」とのことです。

犯人が狙った“無施錠”のわずかな隙

多くの事例で、被害者はスマートキーの自動ロック機能だけを頼りにしていたことがわかっています。中には「ゴミ出しのついでで鍵をかけなかった」「一時的に荷物を取りに戻っただけ」など、わずかな無施錠の瞬間が狙われました。

鍵を閉めていない時間が1分でもあれば、プロの窃盗団にとっては十分な隙です。

ベンツVクラスに特化した窃盗グループの存在

2023年には、ベンツVクラスだけを狙う犯罪グループが千葉県警により摘発されました。彼らは車両の電子制御ユニットに精通し、専用の解析機器を用いて短時間での盗難を可能としていました。

摘発時には、10台以上のベンツVクラスが倉庫から押収され、すでに数台が国外へ送られた形跡が確認されています。

発生日	場所	手口	所要時間	備考
2024年4月	東京都目黒区	リレーアタック	約3分	マンション駐車場
2024年2月	埼玉県川口市	スマートキー電波中継	約90秒	玄関付近にキー放置
2023年11月	千葉県市川市	ECU書き換え	約5分	特定車種専門窃盗団

リレーアタック防止ポーチの活用

スマートキーの電波を遮断する専用ポーチは、リレーアタック対策に非常に効果的です。車から離れていても電波が飛び続けるため、それを遮断する物理的な対策が必要です。

家の中でも玄関や窓際に鍵を置かないよう意識するだけでも被害リスクは軽減できます。

ポーチに入れていない時間帯が最も危険です。就寝前のチェックを習慣にしましょう。

ステアリングロック・タイヤロックの併用

物理的な防御策として、ステアリングロックとタイヤロックの同時使用は非常に有効です。解除に時間がかかることで犯行自体をあきらめさせる効果があります。

• 強固な金属製を選ぶ
• 視認性の高い色（黄色など）で威嚇効果
• 取り外しに専用工具を必要とする構造

GPS発信機・追跡装置の設置

万が一盗まれても早期発見できるようにするため、GPS追跡装置を設置するのが効果的です。専用アプリと連携することで、スマホからリアルタイムで位置情報を確認できます。

価格帯は1〜3万円程度で、年間利用料が別途かかるケースもあります。

発信機は複数箇所に隠すのがベストです。1つだと発見・除去される恐れがあります。

駐車場所の見直しと監視カメラの設置

自宅駐車場のセキュリティを見直すことも重要です。人目が少ない・死角がある場所は狙われやすいため、監視カメラやセンサーライトの設置を検討しましょう。

• 照度センサー付きLEDライト
• Wi-Fi対応カメラ（録画・スマホ通知）
• 門扉・フェンスで物理的に侵入を防ぐ

スマホアプリと連動するセキュリティシステムの導入

スマホと連携するセキュリティ機器が増えています。車両への異常があると即時に通知される仕組みは、夜間の被害に対して即座に対応できるメリットがあります。

代表的なシステムでは、エンジンの始動ブロック・リアルタイム通知・GPS追跡などの機能を搭載しており、価格はおおよそ5〜10万円前後です。

対策項目	内容
スマートキー対策	電波遮断ポーチ／玄関に置かない
物理ロック	ステアリングロック・タイヤロック併用
GPS追跡	発信機を2箇所以上に設置
駐車場防犯	監視カメラ・ライト・門扉の設置
スマホ通知	異常時にアラート送信／遠隔操作機能付き

一般的な車両保険での盗難補償範囲

車両保険には「一般条件」と「限定条件」の2種類があり、盗難被害は原則として「一般条件」でのみ補償されます。限定条件の場合、火災・台風などは補償されますが、盗難は対象外になることが多いです。

加入時には契約内容をしっかり確認し、補償範囲を明確に把握しておくことが重要です。

特約・オプションでカバー範囲を拡張する

保険会社によっては、盗難専用の特約を用意している場合があります。GPSによる追跡費用の補填や、盗難未遂による修理費用も対象となる特約が登場しています。

• 盗難対策費用補償特約
• レンタカー費用補償
• 盗難未遂修理特約

加入後の変更ができない場合もあるため、契約時点で必要な特約を検討しましょう。

保険金支払いの条件と落とし穴

盗難保険では、「状況証明」が非常に重要です。盗難届の受理番号や、被害状況を示す警察の報告書などが求められます。また、保険会社によっては「施錠の有無」が支払い条件となっている場合もあります。

例えば、スマートキーの持ち出し忘れなど、所有者側の過失があると補償の対象外となるケースもあります。

保険料と補償内容のバランスを見直す

保険料は年式・型式・地域によって異なりますが、ベンツVクラスのような高級車は平均で年間10万〜15万円前後となることもあります。盗難リスクの高さを踏まえ、手厚い補償と保険料のバランスを見直すことが重要です。

• 高額車両は保険料が上がる
• 補償金額は市場価格を基準に設定
• 過去の事故歴も影響

保険会社が評価する盗難対策とは

一部の保険会社では、盗難防止装置の有無や駐車環境によって保険料を割引する制度があります。たとえば、GPS追跡装置やステアリングロックの使用、屋内ガレージでの保管などが評価対象となります。

見積もり時に対策内容を正確に申告することで、保険料を抑えつつ手厚い補償を受けることが可能です。

項目	内容
補償対象	盗難、盗難未遂、破損など（条件付き）
必要書類	盗難届・警察の受理証・損害報告
特約の例	盗難対策費用補償、レンタカー費用、鍵再作成補償
保険料の目安	年間10万〜15万円（ベンツVクラスの場合）
評価される対策	GPS、物理ロック、監視カメラ、ガレージ保管

セキュリティ会社のアドバイス

大手セキュリティ企業の見解では、「可視性の高い対策が抑止力になる」とされています。ステアリングロックやセンサーライトなど、視覚的に分かる防犯策が効果的です。

また、最近ではスマホ連動型の警報装置や車両状態監視システムが普及しており、異常を即時に察知できる体制の重要性が強調されています。

中古車販売店から見た盗難リスクの傾向

中古車店「ガリバー」では、ベンツVクラスは仕入れの段階で盗難歴がないかを徹底的にチェックしているとのことです。高額査定が付きやすい反面、盗難された車両が市場に紛れているケースもあるため、業者側も警戒を強めています。

• 盗難歴のある車は買い取り拒否
• 正規ディーラーの記録確認を徹底
• 履歴に曖昧さがある車は評価を下げる

Vクラスオーナーの実体験インタビュー

都内在住のオーナー（40代男性）は、「防犯意識が高いマンションでも安心できない」と語っています。スマートキーを玄関に置いていたことで電波が外に漏れていたことが原因で、リレーアタックに遭いかけた経験があるとのことです。

その後、電波遮断ポーチとタイヤロックの併用に切り替え、「心理的にも安心できるようになった」と話しています。

ディーラー推奨の盗難対策グッズ

メルセデス・ベンツ正規ディーラーでは、車種専用のステアリングロックや純正GPSシステムの装着を推奨しています。特にGPS「Mercedes me」は盗難発生時に自動で通報する機能があり、高い評価を得ています。

純正品は高額ですが、品質と連携性の面で安心感が違います。

実践者が語る「やって良かった対策ベスト3」

複数のオーナーから集めた意見では、以下の3つの対策が特に「効果を感じた」とされています。

• 電波遮断ポーチの利用
• 視認性の高いハンドルロック
• スマホ連動のGPS追跡システム

「意外と面倒だったが、慣れれば5秒で装着できる」「保険より先に物理対策」といった声が多く寄せられています。

情報提供者	立場	推奨または体験内容
ALSOK技術担当	セキュリティ企業	ライトとロックの視覚的対策が有効
ガリバー車両査定部	中古車販売	履歴の曖昧な車は高リスクと判断
都内在住オーナー	ユーザー	スマートキーの置き場所が鍵だった
ベンツ正規ディーラー	販売・メンテナンス	純正GPS「Mercedes me」を推奨

ベンツVクラスは他のベンツと比べて盗まれやすいの？

はい、盗まれやすい傾向にあります。Vクラスはミニバンとしての実用性と高級感があり、海外市場でも人気が高いため、盗難対象になりやすいです。

2024年の盗難データでは、ベンツ全体の中でもVクラスは上位にランクインしており、特に都市部や住宅街での被害が目立ちます。

ミニバンだからと油断せず、高級車並みの対策が必要です。

リレーアタックの被害を完全に防ぐ方法はある？

完全に防ぐのは難しいですが、限りなくリスクを減らす方法は存在します。スマートキーを電波遮断ポーチに入れる、ドアに物理ロックを装着する、GPS装置を複数仕込むなどが効果的です。

• 玄関に鍵を置かない
• 夜間はロック系グッズを必ず併用
• 監視カメラ・センサーライト設置

駐車場所が賃貸の屋外でも防犯対策できる？

はい、可能です。たとえ屋根がなくても、防犯ライトや移動式監視カメラ、物理ロックを組み合わせることで防犯性は格段に高まります。

ユーザーの中には「駐車スペースの周囲にバリケード風のロープを張って視覚的に威嚇した」という実例もあります。

社外のセキュリティシステムを使っても問題ない？

基本的に問題ありません。ただし、正規ディーラーでの保証に影響が出る場合があります。取り付ける前に確認するのがベストです。

人気の社外製品では、遠隔ロック・GPS・スマホ連携など高機能なものが多数存在します。価格帯は2万〜10万円程度です。

配線に不具合があると車両トラブルの原因にもなるため、専門業者に依頼しましょう。

盗難保険に入っていない場合どうすればいい？

盗難被害後は、まず警察に届け出を出し、盗難届の受理番号を取得してください。その後、任意保険やディーラーに相談することで、一部の費用がカバーされる可能性もあります。

ただし、盗難保険未加入の場合は基本的に車両価格が補償されません。次回購入時は保険加入を必須としましょう。

万が一盗まれた場合、まず最初にすべきことは？

まずは110番通報で警察に連絡し、盗難届を提出することが最優先です。その際に必要な情報は以下の通りです。

• 車種・色・ナンバー
• 最後に目撃した時間・場所
• スマートキーの有無
• 防犯カメラの映像があるか

その後、保険会社・リース会社・ディーラーへ速やかに連絡しましょう。

質問	概要
Vクラスは盗まれやすい？	他のベンツと比較しても被害件数は多い
リレーアタックの対策	遮断ポーチ・物理ロック・監視カメラが有効
屋外駐車場でも対応可？	視覚威嚇と物理対策の併用でカバー可能
社外品は使える？	保証の確認を事前に、取り付けは専門業者へ
盗まれたら何をすべき？	110番通報と盗難届、保険会社・関係先への報告

ベンツVクラスは高い人気と換金性を誇る一方で、盗難のリスクも非常に高い車種です。実際の盗難手口や被害事例を見ても、巧妙かつ短時間で犯行が成立していることが分かります。

そこで本記事では、なぜVクラスが狙われるのかという根本的な理由から、実践的な対策、保険の活用法までを詳しく解説しました。

• 換金性・人気の高さゆえに狙われやすい
• リレーアタックやECU書き換えなどの巧妙な手口
• 防犯対策は物理・電子の両面から導入するのが効果的
• 盗難保険の補償内容や特約を確認しておく
• 専門家・ユーザーの実体験を参考に具体的な行動を

これからVクラスを購入・維持する方は、日常的な防犯意識の向上と、確実な備えが欠かせません。たった数分で愛車が奪われるリスクと、そうならないために「今できること」を天秤にかけて、後悔のない選択をしてください。

盗難は「起きてから」では遅いという意識を持ち、万全の体制を整えておくことが最も確実な防御策です。